子どもの「レジリエンス」とは?折れない心を育てる親の関わり方とトレーニング法
「レジリエンス(resilience)」とは、困難を乗り越える「折れない心」のことです。この記事では、レジリエンスの意味や高い子どもの特徴、そして家庭でできるトレーニング法や親の関わり方を、子育て世代にわかりやすく紹介します。
子どもが失敗やトラブルを経験したとき、すぐに落ち込んだり諦めてしまう姿を心配したことはありませんか?「強く生きてほしい」と願う一方で、どうすれば折れない心を育てられるのか悩む親御さんも多いでしょう。
本記事では、心理学的に注目される「レジリエンス(resilience)」の意味や育て方、そして日常の中でできるトレーニング法をわかりやすく解説します。
このような方はぜひ読んでください
- 幼児〜小学生の子どもがいて、「すぐに落ち込む」「失敗を怖がる」様子が気になる保護者の方
- 子どもに「折れない心」や「前向きに立ち直る力」を身につけてほしいと感じている方
- 自己肯定感や自信を育てる声かけ、家庭でできるトレーニング方法を知りたい方
- 感情表現が苦手な子にどう寄り添えばよいか悩んでいる方
- 親としての関わり方を見直し、レジリエンスを育む家庭環境を整えたい方
記事のキーワード:レジリエンス, 折れない心, 子ども, 親, 自己肯定感, トレーニング, 家庭環境
レジリエンスとは?「折れない心」を育む力
レジリエンスとは、困難やストレスを経験しても立ち直る力のことです。ただ、これは単に「我慢する」ことではなく、「落ち込んでも回復できる力」「気持ちを切り替える柔軟さ」を指します。心理学ではこの力を「心理的回復力」と呼び、アメリカ心理学会(APA)でも心の健康に不可欠なスキルとして位置づけています。
この力は、生まれつきの性格だけで決まるものではなく、家庭や学校などの環境、そして周囲の人との関わりの中で育まれるものです。例えば、失敗した時に「もう一度やってみよう」と励まされた経験や、「できたね」と努力を認めてもらえた体験は、レジリエンスを支える大切な土台になります。
また、レジリエンスの高さはストレス耐性だけでなく、自己肯定感や社会的スキルの発達にもつながります。自分を信じる力がある子どもは、困難な状況でも「なんとかなる」「次に活かせる」と前向きに考えることができます。逆に、失敗を恐れて挑戦しない環境では、この力は育ちにくくなります。
子どもの場合、レジリエンスは学業や対人関係、将来の社会適応にも深く関係します。幼少期からこの力を育てることで、失敗や人間関係のストレスをうまく受け止め、前向きに立ち直るしなやかな心を育てることができるでしょう。さらに、家庭で「失敗しても大丈夫」という安心感があることで、子どもは挑戦を恐れず、自分の考えを持って行動できるようになります。
レジリエンスの高い子どもの特徴
レジリエンスの高い子どもは、自己肯定感と柔軟な思考を持っています。「失敗しても自分には価値がある」と感じ、結果ではなく努力の過程を認めることができる子というのが特徴的です。また、失敗を「次に活かすチャンス」と捉える柔軟な思考を持っており、「うまくいかないこともある」と受け止める力が備わっています。こうした子どもは、結果に一喜一憂せず、挑戦そのものを楽しめる傾向があります。
さらに、レジリエンスの高い子は感情表現が豊かで、「泣いてもいい」「困ったら相談していい」と感じられる安心感を持っています。心理学の研究でも、感情を抑え込むよりも、適切に表現して他者に共有することがストレス軽減につながるとされています。感情を素直に表現し、信頼できる大人に頼れる子ほど、心の回復力が高いのです。つまり、感情を出すことは弱さではなく、むしろストレスへの自然な対応であり、レジリエンスを支える重要なスキルといえます。
また、自分で考えて行動できるのも特徴の一つです。日常の中で「服を選ぶ」「お手伝いを決める」など、小さな選択を自分で行う経験を重ねることで、判断力や責任感が育ちます。たとえうまくいかなくても、「次はどうすればいいか」を自分なりに考える習慣が身につきます。このように主体的に行動できる子どもは、困難な状況でも「自分でなんとかできる」という自己効力感を持ちやすくなります。
レジリエンスの高い子どもは、「失敗を恐れず挑戦できる」「感情を素直に表現できる」「自分で考えて行動できる」という3つの要素がバランスよく備わっています。これらはすべて、親や周囲の大人が子どもの気持ちを尊重し、安心して試行錯誤できる環境を整えることで自然と育まれていくのです。
親ができるレジリエンスを育てる関わり方
では、レジリエンスの高い子を育てるにはどうしたら良いでしょうか?子どもと関わる上で、親ができることを次にまとめました。
- 「失敗しても大丈夫」と伝える
レジリエンスを高める第一歩は、子どもが失敗を恐れないことです。親が「失敗してもいいよ」「挑戦できたことがすごいね」と伝えるだけで、子どもの心は大きく変わります。失敗を咎めるのではなく、過程を認める姿勢が「折れない心」を育てる土台になります。また、親が自分自身の失敗をオープンに話すことも効果的です。「お母さんも昔はうまくいかなかったけど、やってみたらできたよ」といった体験談を共有することで、子どもは「失敗=成長のチャンス」と感じやすくなります。 - 感情を受け止め、共感する
「悔しかったね」「悲しかったね」と共感の言葉をかけることで、子どもは自分の感情を安全に表現できるようになります。感情を我慢させるのではなく、受け止めて整理するサポートが大切です。感情を共有できる環境は、ストレス耐性を高める基盤になります。「泣いてもいい」「怒っても大丈夫」という受容的なメッセージを繰り返し伝えることで、子どもは「どんな気持ちも受け止めてもらえる」と安心できます。 - 自分で選ばせ、考えさせる
親が先回りして助けるのではなく、「どうしたい?」「次はどうしてみようか?」と問いかけることで、子どもが自分の力で考え、判断する練習になります。これがレジリエンスの核となる自己決定力を育てます。小さな場面でも「選ぶ・考える・実行する」の流れを経験することが、失敗に対して前向きに対応できる心を育てます。成功体験よりも「やってみた経験」を大切にし、結果よりも過程を一緒に振り返る習慣を持ちましょう。
総じて、子どもが自分で決められるようにし、親はそれをサポートすることが、レジリエンスを高める関わり方と言えるでしょう。子どもが自分で考えて選んだ結果を尊重する姿勢が、「自分にはできる」という自信と回復力を育てていきます。
家庭でできるレジリエンストレーニング方法
さらに、次のような習慣で子どものレジリエンスはさらに高めることができます。
- 小さな「できた!」を積み重ねる
子どものレジリエンスは、日常の中の成功体験の積み重ねで育ちます。例えば「最後まで片づけられたね」「自分で言えたね」といった言葉かけが、達成感と自信を強化します。特に幼少期は、小さな成功の積み重ねが“自分はできる”という感覚(自己効力感)を育てます。結果よりも「やってみた」「挑戦できた」という行動そのものを認めることで、子どもは安心して新しいことに取り組めるようになります。毎日少しずつでも「できた」を積み重ねることが、折れない心の基礎となるでしょう。 - 感情を言葉にする習慣をつくる
「今日はどんな気持ちだった?」と一言聞くだけで、子どもは自分の感情を認識し、整理する練習になります。家庭での“感情の対話”が、心のしなやかさを育てる最良のトレーニングです。また、言葉にできない年齢の子どもには、「今、悲しかったね」「びっくりしたね」と親が代弁することも大切です。感情を否定せず受け止めることで、子どもは「どんな気持ちでも大丈夫」と思えるようになり、感情のコントロール力が少しずつ育ちます。 - モデルとしての親の姿を見せる
子どもは、親の対応を通して困難への向き合い方を学びます。親が「うまくいかなかったけど次は頑張ろう」と前向きに行動する姿勢こそが、最も効果的なレジリエンス教育になります。具体的には、予定通りにいかなかったときに「しょうがないね、次はこうしてみよう」と落ち着いて対応する姿を見せるだけでも、子どもは自然と回復力のある思考を学びます。
レジリエンスのトレーニングには、子どものやることはもちろんですが、親の姿勢も大事です。親もレジリエンスを高め、その姿を見せてあげてください。
まとめ
レジリエンスは、生まれつきではなく“育てられる力”です。親が「失敗を恐れず挑戦できる環境」を整え、感情を受け止めてあげることで、子どもは困難を乗り越える強さを身につけます。
今日から「うまくいかなくても大丈夫」「一緒に考えよう」と声をかけて、折れない心を育てていきましょう。